IGYO10さん

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◆ぼくが愛したゴウスト◆

ぼくが愛したゴウスト (中公文庫)

ぼくが愛したゴウスト (中公文庫)


11歳の少年があるバンドのコンサートのあと、パラレルワードに迷い込んでしまう。
迷い込んだ世界は「心」のない世界。少年「翔太」は元の世界に戻るため奮闘していく…。


タイトルに『愛した』とあるが、ここにおける愛は非常に消極的な愛である。強い情念をもって心に取り憑くようなパトス的なものは感じられない。
ふつう考えるような愛─ερωsとは全く趣が異なっていた。従来の愛を基準にするなら「本書における愛を愛とよぶにはおこがましいのではないか?」というような「愛」(それでも別のことばに換言することはできない)である。

本書の結末を見てもどうもこの「愛」に対しては後退的・頽廃的な印象を受ける。「心」のない世界を強調したいがゆえの演出であろうと思うが、この「愛」のありかたには面食らった。
だが、この話に情熱的な要素は求められていない。主人公の語り口を見ても、小5にしてはみょうに冷静である。主人公の語り口も「愛」も、この世界にうまく溶け合って調和している、だからここにおける「愛」は、上述のようなそれでいいように感ぜられる。


文章はひじょうに読みやすいので速読の方は一日で読みおえるボリューム。
クセもそこまで強くないので、おすすめ。

本書とバンド「相対性理論」の関係性についてつづった記事がなにかの雑誌に載っているらしいので、そちらも読みたいところ。

ただ個人的にすきかきらいかといわれたら↓
★★★☆☆

かな。