IGYO10さん

音ゲーや生活やその他のことを書いてます。

MENU

◆MOTHER2における死の描写について 2◆

前回はこちら。だいぶあいてしまった。↓ 

cryin8c10wn.hatenablog.jp

 次にツーソンのトンチキさんを見てみよう。トンチキさんはヌスット広場という青空市場の元締めをしている男で、見た目はうさんくさく、行動も謎めいているがどうやら広場のひとびとの信頼は厚いようだ。ポーラ誘拐の件も一枚噛んでいるようだし、ポーラ救出の後に訪れればどこから調達したのか「100まんドル」のさつたばをネスに押し付ける。このさつたばによって、劇場に騙されて働かされているトンズラブラザーズを解放できるのだが、出所の分からない金を出会って間もない少年に渡すのは常識的に考えてだいぶゾッとする。それなのに当の本人はどこ吹く風、「マニマニのあくまをいただきにでかけるところだ」なんて言いながらとっとと去ってしまう。

 次に会えるのは大都会フォーサイド、かなり弱った姿を町の人々に囲まれている。どうやらマニマニのあくま強奪後、転売しようてヘマをしてしまったらしい。おまけにフォーサイドの権力をほしいままにする実業家モノモッチ・モノトリーの秘密を知ってしまい、その生命を狙われてしまったようだ。息も絶え絶え、今にも死にそうな彼はモノトリーの秘密をネスたちに教え、ふらつきながら去っていく。この後本編でトンチキさんは出てこない。ただこの直後にフォーサイドのホテルに泊まると朝の新聞読み上げサービスで「都会の孤独な死。サングラス  ひげ  長髪  アロハシャツの男性」と、彼を思わせるような記事を聞くことができる。

 ここから彼の死に際の状況について見ていく。彼が発見されるのはボルヘスの酒場で「なんだか、みせのそとがさわがしいわねぇ…。スワローズファンが「トーキョーオンド」でも歌ってるのかしら」という店員の言葉を聞いてからだ。外に出るとBGMは怪しげなものに変わっている。ビルの間に人だかり、その中心に彼がいる。誰も彼に話しかけようとはせず、以下のような台詞が聞けるのみである。

◆おお、いやだいやだ。あんなめにあいたくないね。
 じぶんじゃなくてよかったよ。
◆ひとがたおれているんだけど、しんでるのかなぁ。
◆あんまりにんそうのいいひとじゃないわねぇ。
◆やぁねぇ、こんなところでしんでるなんて。
◆いきはしてるみたいだけど、ただのよっぱらいかなぁ。

 わたしは名もなき彼らの言葉を、冷静な観察者の目線のように感じた。彼らにとってトンチキさんという「ひと」はどこか第三者的な「対象物」のようで、暴力的な言い方をすればエンターテイメントのような「見世物」にも見えてしまうのだ。